名利に使はれて、靜かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ミッドライフ・クライシス」という言葉があって、中年以降になるとこれまでのような「伸び」は経験できず、人生の先が見えてきます。そのため焦りを生じて、いろいろ無茶(酒や女にハマったり、無謀な転職をしたり、いきなり旅に出たりなど)をすることがあります。身体能力やルックスはどうしても加齢に従って低下するものですが、絶対的な知識量や情報処理能力など、知能は50歳を過ぎてからも伸びるという説があり、「村の長老」のような形で人々の尊敬を得ることは可能でしょう。しかし吉田兼好は、老荘を引用してこう言います。「智惠出でては僞あり。才能は煩惱の増長せるなり。傳へて聞き、學びて知るは、まことの智にあらず。いかなるをか智といふべき。可・不可は一條なり。いかなるをか善といふ。」つまり物事を勉強して世の中を知った気になっても、知れば知るほど間違いも増えるし、調べたことなんて本当の智ではない。善悪はつながっており、何が本当の善かなど、誰にもわからないということです。寺田寅彦などは、この段を指して「名利を捨てよというのではなく、『真の名利』を求めるための手段として各人の持つべき心掛けを説いているようにも思われる」とも言っています。ようは身の丈に合ったふるまいをし、無理なことをするなということでしょう。しかし人に認められたいという欲望が、社会を発展させてきたという一面もあります。皆が皆、仙人のような生活をしていたら、私たちは未だに洞窟で暮らしていることでしょう。ここでいつもの如く強引にサプリメントの話に持って行くと、身の丈を知り、同時に向上心を持つためには、セロトニンとドーパミンのバランスがポイントとなりそうです。これらが崩れないようにするためには、トリプトファンとチロシン、そしてビタミンB群を十分に摂取しておくことが必要になります。普段からイライラしがちで寝つきが悪い人は、交感神経が優位になっており、トリプトファンが不足しているかもしれません。逆に「やる気」がなかったり、日中でも眠気が覚めなかったりする人は、副交感神経が優位になっており、チロシンが足りないのかもしれません。なお高炭水化物食だとインスリンが分泌され、アミノ酸が筋肉に取り込まれます。しかしトリプトファンはインスリンの影響を受けにくいため、血中濃度が高まります。食後に眠くなるのは、そのためです。ローカーボ・ダイエットだと、眠気は減ります。いずれの場合もビタミンB群の働きによって、アミノ酸からセロトニンやドーパミンが作り出されます。まずはしっかりとB群を摂取し、DNAの導きに従う必要があるのです。そのうえで、自分にとって多く摂取すべきなのはチロシンなのかトリプトファンなのかを決定するようにしましょう。