いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる心地(ココチ)すれ。 (中略)さやうの所にてこそ、万(ヨロヅ)に心づかひせらるれ。持てる調度(テウド) まで、よきはよく、能(ノウ)ある人、かたちよき人も、常よりはをかしとこそ 見ゆれ。「サプリメントを飲んでいるのに、効果がない!」と怒ってしまう気の短い人は、けっこう多いものです。「摂取を中止したのに、飲んでいるときと変わりがない。これは効果がない証拠だ」と短絡的に判断し、すぐに飲むのを止めてしまいます。筆者のところにも、「効かないので飲んでない」と言ってくる人がときどきいます。特に深入りする必要もないので、「あぁそうですか」と聞き流して終わりにしていますが、そこそこ親交のある人には、「そういわず、もう少し飲み続けてはどうか」と勧めるようにしています。クレアチンやカフェイン、ある種のハーブなどは、すぐに効果を体感できます。100の能力が120になれば、誰でもすぐに気が付くというものです。しかしプロテインやビタミン、抗酸化物質などは、100の能力が101になるような感じですので、よほど敏感な人でないと効いているのかどうかわからないかもしれません。100が101になったところで、高いお金をかけるほどのことはないようにも思えます。しかし例えばカフェインで目が覚めるのは、一時的なものです。飲めば飲むほど覚醒レベルが高まるというわけでもありませんし、効果が切れたら元の状態に戻ります。しかしプロテインやビタミン、抗酸化物質は、回復力の促進やDNAの損傷防止などによって、私たちの能力を「底上げ」してくれます。一ヶ月飲み続けて100が101になり、三ヶ月目には103になり、一年後には112となり、二年後には124となるのです。ちなみに筆者の場合、筋肉量が多いこともあって、プロテインを飲まないとすぐに筋肉が落ちてしまいます。あまりにも多くの種類のサプリメントを飲んでいるため、いつの間にか切らしたまま忘れていることも結構あるのですが、止めてみてはじめて効果がわかるということも多く、筋肉痛が長引いたり、睡眠が浅くなったりしてビタミンB群を飲み忘れていることに気づいたり、突然風邪っぽくなってグルタミンを切らしていることに気づいたりしたこともあります。「どんなサプリメントが筋肉をつけるのに良いのですか?」と訊かれたときに、ビタミンや抗酸化物質を勧めるのは、けっこう面倒なものです。一ヶ月も経たないうちに、「効かないじゃないですか!」とクレームを受ける可能性がありますから。そんなときに、前述のような説明をしても、なかなか受け入れてはもらえません。たいていは、すぐに効果の出るものを紹介することになります。ということで、ここで声を大にして言っておきましょう。「筋肉を付けるためには、プロテインやビタミン、抗酸化物質などをしっかり摂取し、それを継続することが、長い目でみれば大事なのだ」と