血流を制限して行うBFRトレーニングは非常に多くのトレーニーにとって効果的ですが、その中でも特に大きな効果のある人と、意外に効果が出ない人とに分かれることがあります。さてBFRトレーニングは、どのような人に大きな効果をもたらすのでしょうか。BFRトレーニングは運動中の血流や酸素の供給を妨げます。また非常に軽い重量で行うものの、遅筋繊維だけでなく、速筋繊維も動員されます。トレーニングの効果は「刺激に対する適応」ですから、普段は血流や酸素供給の多いトレーニングをしている人、また遅筋繊維を主に使い、速筋繊維はあまり使わないようなトレーニングをしている人、すなわち持久系エクササイズの得意なトレーニーにこそ、BFRトレーニングは「普段と全く違う刺激」を与えることができるはずです。Blood Flow Restriction Exercise in Sprinters and Endurance RunnersMed Sci Sports Exerc. 2012 Mar;44(3):413-9. doi: 10.1249/MSS.0b013e31822f39b36人のスプリンターと6人の長距離ランナーを被験者とし、20%1RMの通常エクササイズと65%1RMの通常エクササイズ、20%1RMで2分間のBFRトレーニング、20%1RMで3分間のBFRトレーニングを行いました。その結果、BFRトレーニングを行った場合、長距離ランナー群のほうがクレアチンリン酸やpHの低下が著しかったのです。BFRトレーニングではなく通常トレーニングの場合、スプリンター群のほうがクレアチンリン酸は低下し、pHの低下は両者とも同等でした。なおスプリンター群の場合、65%1RMの通常トレーニングのほうがBFRトレーニングよりもクレアチンリン酸の低下は大きくなりました。長距離ランナー群はBFRトレーニングのほうがクレアチンリン酸の低下は著しくなっています。こうして理論通り、BFRトレーニングの効果は血流や酸素供給の多いトレーニングを普段から行い、遅筋繊維の多いトレーニーのほうに高い効果が見られるという結果となりました。なお意外かもしれませんが、ボディビルダーは遅筋繊維が速筋繊維よりも多いのです。筋肥大を狙ったトレーニングをしているボディビルダーには、BFRトレーニングの効果が強く顕れることでしょう。