血流を制限してウォーキングを行ったところ、大腿四頭筋の筋肉量が4.7%、筋力が8~10%増大したという報告がある。(※1)しかし血流を制限したまま長時間の運動を続けるのは虚血再灌流に伴う活性酸素の増大や、血栓の生成などの問題が起こる可能性がゼロではない。さて血流を制限して行う筋力トレーニングにおいては、セット毎に除圧して行う方法でも効果に違いはなく、むしろ筋力はセット毎に除圧するほうが高まったという研究結果があり、これをIntermittent Blood Flow Restriction Training と呼ぶ。(※2)しかし途中で除圧する場合、そこで運動を一時中断する必要がある。以前に紹介したIschemic PCの場合、除圧の時間をそれなりにとる必要がある。一つの例を挙げると、血圧計カフを用いて5分間の間、200mmHgで上腕の血流を止め、5分間休ませ、再度締め付けるという方法を4回繰り返したところ、心組織の損傷を30%減少させることができた(※3)とはいえ、有酸素運動中に5分間も休むわけにはいかない。そこでどうするか。片脚ずつ行うのである。ステップアップ(踏み台昇降)を例にとろう。BFR Step-Up のやり方1. 右脚付け根にベルトを巻く。2. 右足をベンチの上に置き、立ち上がる。このとき右足のカカトに重心を置くこと。3. 股関節の伸展を意識し、腰を突き出すようにして立ち上がるようにする。4. 右足はベンチの上に置いたまま、股関節の屈曲を意識して左足を地面に下ろす。5. これを20~30回繰り返す。6. 右脚のベルトは外し、数回深呼吸をして休んだら今度は左脚付け根にベルトを巻く。7. 同様に20~30回繰り返す。8. 左脚のベルトを外し、数回深呼吸をして休んだら今度は右脚にベルトを巻いて同様に行う。9. これをトータルで10~15分行う。右脚と左脚のセット数が同じになるようにすること。この方法だと、血流を制限しているのが片方だけなので、それだけ虚血再灌流の問題が少なくなる。また除圧している間に、別の方を血流制限して行うことができる。一回に血流制限している時間は20~30レップスなので、せいぜい1分程度だ。インターバルも同じくらいとなる。トータルでは10~15分、最大で20分を目安に終了すれば、非常に安全で、なおかつ有酸素運動としての効果も十分に得ることができる。※1:Muscle size and strength are increased following walk training with restricted venous blood flow from the leg muscle, Kaatsu-walk training.J Appl Physiol (1985). 2006 May;100(5):1460-6. Epub 2005 Dec 8.※2:Perceptual effects and efficacy of intermittent or continuous blood flow restriction resistance training.Clin Physiol Funct Imaging. 2014 Sep;34(5):356-63. doi: 10.1111/cpf.12100. Epub 2013 Nov 7※3:Improved long-term clinical outcomes in patients with ST-elevation myocardial infarction undergoing remote ischaemic conditioning as an adjunct to primary percutaneous coronary interventionEur Heart J. 2014 Jan;35(3):168-75. doi: 10.1093/eurheartj/eht369. Epub 2013 Sep 12