・・・・・・・・・・・・・人ごとに、我が身にうとき事をのみぞ好める。・・・・・・・・・・・・・専門外のことに口を出したくなることはあるもので、専門というのは多くの場合、仕事と結びついているため、いつの間にかそれに飽きてしまいがちです。そこで他のことに興味を持ち、調べ始めると面白くなり、それなりに知識もついてきて、いろいろと語りたくなるという経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。通常は専門家のほうが職能は高く、知識量も多いはずです。しかし仕事が忙しいとインプットが滞り、知識や能力がアップデートされず、いつの間にか専門外の人間に追い抜かれているということはあるものです。栄養学における医師と一般人の間に、その現象が起こっています。普通の人が栄養について語ると、「医師でもないのに偉そうにするな」と言ってくる人がいます。一面でそれは正しく、体調不良の人に栄養改善を勧めたりするだけでも法律に触れてしまう可能性があります。そのため歯がゆいことながら、他人のことに口を出すのではなく、「私はこうしている」ということをSNSで語ったり、生化学的事実や論文に書かれている内容を紹介したりという程度に留めておく必要があります。ある場合において、門外漢が専門家を凌駕することがあります。専門家はその専門分野において深い知見を持っているものの、そこを外れると途端に盲目になってしまいがちです。しかし門外漢の素人には専門領域の垣根がなく、幅広く柔軟に知識を取り入れることができるのです。昔のTV番組で空手家の対談があり、空手家Aは「正拳突きを極めるだけで精いっぱいだ」と言っていました。このような考え方がカッコイイと思う人もいるでしょう。それに対して空手家Bは、「フックやアッパーを知ることで、正拳突きを違う方向から見ることができるようになって、さらに技術が高まった」と発言し、空手家Aは憮然として道場に帰って弟子たちをぶちのめしたというエピソードを、その弟子から聞いたことがあります。専門に囚われず、幅広い視点を持つことが大事です。高次脳機能障害によってこだわりが強くなることは知られていますが、加齢によっても前頭葉が萎縮し、頑固になると言われています。脳の主なエネルギーは糖質だとされますが、朝食において糖液よりも5大栄養素を含む流動食を摂取したほうが前頭前野内側面での活動が高くなったという報告があります。またドーパミンが腹側被蓋野から前頭葉に達して前頭前野にあるワーキングメモリーや側座核の働きを高めてくれるとも言われています。さらに、空腹感を感じてから食べることでドーパミンの分泌が増えるとされています。空腹感を感じたところで5大栄養素がしっかり摂れる美味しいものを食べ、チロシンやムクナを追加摂取することでドーパミンが増えて前頭葉の萎縮を防ぐことができるかもしれません。年をとっても好奇心を持ち、幅広い分野で知識を増やしていけるようにしたいものです