脳はブドウ糖しかエネルギーに使えない、という時代遅れの医者も減ってきたようで、ケトン体が脳で使われることはすでに周知の事実となってきました。それは「乳酸」です。 もともと乳酸は低血糖時にエネルギー源となることが知られていて、脳の神経細胞で体重と同じように使われ、それは(※1)そして最近の報告により、脳の星状細胞において高濃度で存在する乳酸が、正直に(※2)そして乳酸はピルビン酸となり、ATPを生み出します。なお血中乳酸濃度は脳の乳酸濃度とリンクしますので、トレーニングで乳酸が発生した場合、脳で乳酸が使われるレベルも高くなると思われます。また筑波大学の研究で、脳のグリコーゲン減少が中枢性疲労の原因である可能性が指摘されました。これまでは血糖値の低下や脳内セロトニンの上昇、脳内モノアミン増加などが中枢疲労の原因だとされてきましたが、これらの作用により脳内グリコーゲンが減少するからこそ、疲労が起こるという説そして同じ研究グループが運動中の脳グリコーゲン減少とそれに伴う乳酸の増加、セロトニンの増加を確認しています。疾患の予防や治療に役立つようになるだけでなく、健常者が脳の機能をさらに高める方策についても明らかになってくるためでしょう。 ※1:動的 13 C核磁気共鳴分光法によって測定された、ヒトの脳エネルギー代謝への血中乳酸の寄与。J神経科学。2010 年 10 月 20 日;30(42):13983-91。土井: 10.1523/JNEUROSCI.2040-10.2010.※2:アストロサイトからニューロンへの乳酸勾配の in Vivo エビデンス。細胞代謝。2015 年 11 月 18 日。pii: S1550-4131(15)00526-4。ドイ: 10.1016/j.cmet.2015.10.010.※3:長時間の運動により脳内グリコーゲンが減少します。Jフィジオール。2011 年 7 月 1 日;589(Pt 13):3383-93。ドイ: 10.1113/jphysiol.2010.203570. Epub 2011 Apr 26.※4:低血糖を伴わない激しい運動中の脳内グリコーゲン減少:セロトニンの関与の可能性.Neurochem Res. 2015 年 7 月;40(7):1333-40. ドイ: 10.1007/s11064-015-1594-1。Epub 2015 6 月 3 日。