・・・・・・・・・・・・・・下部に酒飲まする事は、心すべきことなり。・・・・・・・・・・・・・・SNSでトレーニングや栄養について語ると、思わぬ解釈をする人が出てくるものです。一つの例を挙げると、筆者がベンチプレスやスクワットを指導している写真をクライアントがアップしてくれることがあるのですが、それに対して「山本はBIG 3を否定していたはずなのに、なんたることだ」と言う人がいるようです。筆者は何が何でもBIG 3をやるな、などとは言っておらず、一般的にはもっと効率の良いエクササイズがあると言っているだけです。クライアントの個性や目的により、ベンチプレスを指導することもありますし、まったくやらないこともあるのです。文章を理解する際には言葉の意味を正しく理解し、それを文法に照らし合わせて作者の「イイタイコト」を導き出す必要があります。この能力、すなわち読解力をつけるには、読書を重ねる必要がどうしてもあります。読書においては、人間の感情や風景を文字で読み取り、それを脳内で再構築する作業が行われます。これが漫画だと最初から画像として提供されるため、再構築が行われません。短文ばかりのSNSでも、再構築は行われません。また短文ではなく長文を読む際には、言葉の意味を追いつつ、すでに読んだ内容を記憶しておく必要があります。このように情報を処理と情報の保持を並行して行う場合、ワーキングメモリ(作動記憶)の容量を高めておく必要があります。ワーキングメモリは主に前頭皮質が関係しているとされ、ドーパミンD1受容体との関連が高いと言われています。また最近の報告ではヒスタミンH3受容体を阻害するとヒスタミンの放出量が増え、ワーキングメモリが改善することが報告されています。そしてワーキングメモリに関わる前頭葉の活動が強い人ほど、その領域のヒスタミンH3受容体密度が低いことが判明しています。(※1)またH3受容体のインバースアゴニストであるチオペラミドとベタヒスチンを投与したところ、記憶が改善したという報告もあります。(※2)咀嚼によってヒスタミンが増えることは知られていますが、ヒスチジンを含む食品やサプリメントでも脳内ヒスタミンを増やすことは可能です。青魚を良く食べ、ヒスチジンのサプリメントを摂取する。チオペラミドとベタヒスチンに手を出す前に、まずはここからでしょうか。なおヒスタミンには満腹感をもたらす作用もあるため、食べ過ぎも改善できるはずです。※1:Histamine H3 receptor density is negatively correlated with neural activity related to working memory in humansEJNMMI Res. 2018 Jun 14;8(1):48. doi: 10.1186/s13550-018-0406-4.※2:Central histamine boosts perirhinal cortex activity and restores forgotten object memoriesBiol Psychiatry. 2019 Aug 1;86(3):230-239.