バルクアップのための心構えを毎月5点ずつ、紹介していきます。その内訳は次の通り。トレーニング食事サプリメント休養その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1. トレーニングでの刺激を欲張り過ぎるな!高重量でのトレーニングを行い、最後に軽い重量でハイレップスのセットをやって締めるというのは、古くから知られた方法だ。その効果を証明した日本での報告もある。しかし考えてみよう。トレーニングを一回しかしないならば、そのときいっぺんに高重量の刺激と低重量の刺激を与えたほうがバラエティに富んでいて良い。だが、トレーニングは一回だけではないのである。毎回そのようなトレーニングを行っていると、「高重量+低重量」の刺激に身体が慣れてしまうのだ。常に新しい刺激を与えるためには、「高重量の日」と「低重量の日」を明確に分けるほうが良い。そのため、高重量セットの後に低重量でのパンプアップセットを入れるというのは、長期的な観点から考えると、あまりお勧めはできない。2. ローカーボ・ダイエットはチートを意識しろ!健康のためにローカーボ・ダイエットを行っているトレーニーも多くなってきた。しかし巷に様々なダイエット法があふれているのは、ダイエットに失敗している人が多いからだ。なぜ失敗するのかというと、プラトーに陥ってしまうからである。最初は順調に落ちていても、数週間すると体重減少が止まってしまう。そこでさらにカロリーを減らし、運動をハードに行えば、また体重は落ちるだろう。しかしその状態にも身体は適応してしまい、すぐにまたプラトーになってしまう。「56日ダイエット→23日チート」とか「2週間ダイエット→2週間普通食」の場合、ダイエット食をずっと続けるよりも効率よく体重・体脂肪を落とすことができると分かっている。ダイエットは悲壮感を漂わせながら頑張っている人が多いのだが、適度にチートを挟んだり、普通食に戻す期間を入れたりすることで、食欲も満足させられるし、精神的に満たされた状態でダイエットを継続することができるはずだ。3. ナイアシン大量摂取で気を付けたいのは精神疾患や関節痛、コレステロール値改善などなど、ナイアシンには様々な効果がある。ただし十分な効果を得るためにはそれなりの量が必要で、一日に500mg以上の大量がほとんどの場合で要求される。厚生労働省の定める基準の数十倍以上である。ナイアシンにはメチル基を吸い取る作用があり、それが精神疾患に役立つ機序の一つになっているのだが、それが問題となることもある。ホモシステインの増加である。ナイアシン大量摂取によってホモシステインが増加するということは知られているが、それによって心臓血管系疾患を引き起こす可能性がゼロではない。そのため、ナイアシンを摂取する際には同時にホモシステイン対策としてB6やB12、葉酸も摂るようにしたい。つまりビタミンB群のサプリメントである。メチル基供与体としてSAMeやレシチンを摂るのも良いだろう。4. ウォーキングで回復せよ!適切な栄養摂取によってケガの治りを早くしたり、疲労回復を促進したりということは、もちろん可能である。しかし栄養というものは血管を使って組織に届けられるため、血管の少ない場所にはなかなか効果が行きわたらない。血管が少ないのが、腱や軟骨、靭帯などの結合組織だ。肉離れに比べて関節のケガが治りにくいのには、そうしたわけがある。血管の少ない場所に栄養が届けられるのは、ヒアルロン酸と糖タンパクからなる「滑液」によるものが大きい。そして滑液が周囲の細胞に行きわたるためには、動かすことが重要なのである。関節に負担のかからない範囲で歩く(水中ウォーキングがお勧め)ことで、足首や膝、腰、そして上肢への効果も期待できる。ケガをしたからといってずっと安静にするのではなく、無理のない範囲で動かしてやろう。5. 笑うことこそ瞑想やマインドフルネスはもともと禅の手法だが、アメリカでは宗教的な意味合いを除き、ビジネスマンやアスリートのストレスを減らすために使われるようになった。姿勢を整える「調身」では楽に呼吸でき、腹圧を軽くかけた姿勢を維持。そして呼吸を整える「調息」ではゆっくりと吐くことを意識し、心を整えていく「調心」へと至る。しかし実は「笑う」だけで、同じような効果を得ることができる。瞑想をしているときと笑っているときのγ波が全く同じ波形を描くというのだ。また笑うことで記憶力が良くなるという報告もある。だが偽物の笑いではダメで、本当に心から楽しいと思って笑うのでなければならないという。(※1, ※2)良く笑うことで免疫も高まり、癌細胞を消したというエピソードにも事欠かない。謹厳居士が良いとされたのは昔の話。良く笑う生活を送るようにしたい。※1:The effect of humor on short-term memory in older adults: a new component for whole-person wellness.Adv Mind Body Med. 2014 Spring;28(2):16-24.※2:Individual differences in laughter perception reveal roles for mentalizing and sensorimotor systems in the evaluation of emotional authenticity.Cereb Cortex. 2015 Jan;25(1):246-57. doi: 10.1093/cercor/bht227. Epub 2013 Aug 22.