・・・・・・・・・・・・・人の言ふ事も、目に見ゆる物も、我が心の中に、かゝる事のいつぞやありしかと覚えて・・・・・・・・・・・・・「デジャブ」という言葉は歌詞などにもよく出てきますが、あたかもユングのいう「集合的無意識」のように、トレーニングでも栄養でも一度流行ったものが時を置いて数十年後にまた流行ったりするものです。しかし流行が繰り返されるうちに経験やエビデンスが積み重なって、確固とした立場をつくりあげたものもあります。日本における栄養学では、その代表が「タンパク質の重要性」でしょう。アスリートは体重1kgあたり2gのタンパク質を一日に摂るべし。これは今では常識ですが、数十年前のトレーニング誌には「炭水化物のほうが重要だ。タンパク質は普通の人と同じで良い」と平気で書かれていたものです。タンパク質が大事だと書いているのはボディビル雑誌だけでした。しかし今では厚生労働省すらタンパク質の摂取量を見直しはじめ、普通の人もタンパク質を十分に摂るようにしろと言っています。三石巌氏が1970年代から言っていた「高タンパク、すなわち体重1kgあたり1gの良質タンパクを一日に」という言葉が2020年になってようやく認められたのです。メガビタミンについてはパラダイムシフトが遅々として進みませんが、ビタミンDについていえば2015年の基準が一日5.5mcgだったのが2020年では8.5mcgと、一気に増加しています。「不足しない量(病気にならない量)」を基準としている以上、他のビタミンについては今後も期待は持てなそうですが。さて高齢者がタンパク質を十分に摂るとは言っても、長年のタンパク不足によって消化能力が低下していると、なかなか食事では難しいものです。プロテインですら、飲むと胃がもたれる人が多いようです。そこでお勧めしたいのがEAAです。味の素の研究では、わずか3gのEAAですらタンパク合成を高め、フレイル予防にも役立つだろうとしています。この研究ではロイシンが全体の40%を占める配合となっています。少量のEAAからはじめ、慣れてきたら5g程度のプロテインを追加するようにすれば、かなり体調改善にも役立ってくるでしょう。高齢のご家族がいらっしゃる場合は、ぜひお勧めください。