命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。飽かず、惜しと思はば、千年(チトセ)を過 (スグ)すとも、一夜(ヒトヨ)の夢の心地こそせめ。住み果てぬ世にみにくき姿 を待ち得て、何かはせん。命長ければ辱(ハヂ)多し。長くとも、四十(ヨソヂ) に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ。長生きするのは恥多いことと昔は言われていましたが、それでもやはり健康で長生きしたいというのが、私たちの偽らざる本音ではないでしょうか。アンチエイジングのために様々な手段が用いられ、今では男女問わず「実年齢より若く見える」ことが、中年以降のステイタスの一つとなっているようです。老化を抑制する手段の一つとして、摂取カロリーの制限が有効であることは、アカゲザルの実験でよく知られているところです。しかしこの実験は無菌室で行われたものであり、実際はカロリー制限によって免疫が低下するため、通常の環境では長寿は再現できないのでは、という批判もあります。レスベラトロールには摂取カロリー制限と同じような効果をもたらす作用があるとも言われました。しかし酵母のSir2の場合、10μMでは効果があるものの、100μMや500μMになると効果は薄れ、また人間のSirt1,またそれがターゲットとするアセチル化K382の場合だと0.5μMでは効果があるものの、50μMを超えるとかえって有害となるようです。私の仮説ですが、レスベラトロールは二価銅と反応して一価銅とジヒドロレスベラトロールになるため、一価銅がフェントン反応によってヒドロキシルラジカルを生じることが問題となるのかもしれません。この場合もやはりフルスペクトラムのビタミンEが有効となると思われます。ただしレスベラトロールにはAMPKを活性化してインスリン抵抗性を改善したり、血中脂質プロフィールを改善して中性脂肪やセラミドの蓄積を減らしたりといった作用も期待できるため、少量を摂取しておいて損はないでしょう。ちなみにユビキチン・プロテアソーム系のブロック作用もあります。2011年に行われた研究では、1日150mgのレスベラトロールを30日間摂取することによってカロリー制限と同じような血中脂質の改善やインスリン抵抗性に関する効果が見られたとのことです。まずはこのあたりの摂取量を目指しておくと良いのではないでしょうか。Calorie restriction-like effects of 30 days of Resveratrol (resVida™) supplementation on energy metabolism and metabolic profile in obese humanshttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3880862/