バルクアップのための心構えを5点ずつ、紹介していきます。その内訳は次の通り。1. トレーニング2. 食事3. サプリメント4. 休養5. その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1. まずは多関節種目から「事前疲労法」というテクニックがある。先にアイソレーション種目(単関節)を行ってターゲットだけに効かせ、その次にコンパウンド種目(多関節)で高重量をやるというものだ。確かにこの方法は「効いた感」をもたらし、高重量を扱えない言い訳も与えてくれる。ウォームアップとして先にアイソレーション種目をやるのは悪くない。しかし、多くの研究によって先に高重量でのコンパウンド種目をやったほうが筋肥大にも筋力にも効果が高いとわかっている。実は先にアイソレートさせてターゲットを疲れさせることで、次に来るコンパウンド種目では「他の筋肉を使って」挙げてしまうようになるのだ。これを逆用する「逆事前疲労法」というテクニックも筆者は開発しているが、興味のあるトレーニーはぜひ検索されたい。2. 酒粕からつくった甘酒をレジスタントスターチについては知っているトレーニーも多いかもしれないが、レジスタントプロテインはあまり知られていないだろう。これは生理活性を持つ消化があまり良くないタンパク質のことで、コレステロール低下作用や肝機能改善効果があるとされる。このレジスタントプロテインを含むのが、酒粕だ。酒粕に水を加えて溶かし、人工甘味料で味付けした甘酒を3週間毎日飲み続けたところ、LDLコレステロールが減ってHDLコレステロールが上昇し、体重と体脂肪率に変化はなかったという。ただし便の量が増えており、食事の脂肪を吸着して排出した可能性があるようだ。バルクアップ中にも、ダイエット中にも使える酒粕由来の甘酒、試してみても損はないだろう。3. スーパーフードはスピルリナスーパーフードにはさまざまな種類があるが、特にお勧めしたいのがスピルリナだ。クロレラなど多くのグリーンフードは細胞膜がセルロースでできていて、消化が悪い。しかしスピルリナは細胞膜がペクチンでできており、消化されやすいだけでなく水溶性食物繊維として腸内細菌のエサとなってくれる。またビタミンKやγリノレン酸を大量に含み、普通の食事からはなかなか摂れない栄養素を補給してくれる。マウスの研究では過酸化脂質を減らしてNOの生体利用効率を高め、EDにも効果をもたらすと言われている。スーパーフードを選ぶ際の参考にしてほしい。4. 意外に効果のある逆立ち筆者はエイプリルフールに「10分くらい逆立ちをして血流を上半身に集めよう。その後でトレーニングをすると筋肥大効果が高い」と書いて、本気にした人たちにとても怒られたことがある。10分の逆立ちなんて普通は無理だし、まさか信じられるとは思わなかったわけだが、実は本当に逆立ちには効果がある。ヨガでも「アーサナ(ヨガの姿勢)の王様」と呼ばれているくらいで、脳の血流も増えるし、内臓の位置が普段と変わって消化不良や便秘などに効果をもたらす可能性もある。逆立ちが難しい場合は「半重力ブーツ」という足首に固定する器具があり、これを使ってチンニングバーなどに逆さにぶら下がる方法もある。さて、この文章が公開されるのは4月だが・・5. 脳の機能とは奇書「ドグラ・マグラ」において夢野久作は正木博士の口を借り、「我々は脳ではなく、身体の細胞全てにおいて思考し、知覚する。脳は電話交換局に過ぎない」と言っていた。心臓移植によって意識が変わったというクレア・シルヴィアの話が真実かどうかはわからないが、アリゾナ州立大学医学部心胸科のコープランド博士は「臓器移植の際、臓器に含まれるDNAも同時に移植されることになる。その場合、移植する臓器以外の部位に関連する遺伝子―例えば、脳に関連する遺伝子―も含まれるため、そのようなことが引き金となって、心身の変化が現れることも否定できない」と言っている。最近では末梢での疲労は起こらず、末梢での代謝産物が脳に送られて、その情報が脳において疲労を感じさせるという説も出ている。脳も神経の集合体に過ぎないことを考えると、夢野久作の仮説もあながち荒唐無稽ではないのかもしれない。