前回の記事では、浮腫みを減らすためには水を多めに飲んでナトリウムを洗い流し、カリウムを野菜や果物、イモ類から摂取することをお勧めしました。今回はビタミンやアミノ酸の摂取によって浮腫みを減らす方法を紹介しましょう。まずはビタミンB2とビタミンCです。これらはご存知のとおり、水溶性ビタミンです。大量に摂取すれば余剰分を排出するために尿量が増えますから、それだけでも効果が期待できるわけです。また栄養学の太祖である小柳達男氏の文献によれば、ビタミンB2にはナトリウム排出作用があることが示されています。またアルコールの摂取によって浮腫みやすい人は、アルコールの代謝を助けるナイアシン(ビタミンB3)を摂取することで、浮腫みを解消することができます。なお乳がんの手術を行ってリンパを取り去った場合、乳酸が溜まって腕が浮腫むことがあります。そのような場合は乳酸を除去するビタミンB群、特にB1を大量に摂取すると効果が期待できます。このようにビタミンB群には意外な方向から浮腫みを解消してくれる働きがあるのです。次に尿素回路(オルニチンサイクル)について紹介しましょう。これは生体にとって有害であるアンモニアを除去するための回路です。特にタンパク質摂取量の多いアスリートはアンモニアの産生量も多いため、尿素回路は活発に働いています。さて体内で発生したアンモニアは肝細胞のミトコンドリアにおいて、カルバモイルリン酸に変換されます。それがオルニチンと結合してシトルリンになります。シトルリンはミトコンドリアから出て細胞質に移行し、アスパラギン酸と結合します。するとアルギノコハク酸ができます。そしてアルギノコハク酸からアルギニンがつくられます。そしてアルギニンから尿素とオルニチンがつくられます。つまりアンモニアからスタートし、最終的に尿素とオルニチンが生成されるわけです。ここで紹介したアミノ酸、すなわちアルギニンやオルニチン、シトルリン、アスパラギン酸などは全て尿素回路を活性化するため、尿の量を増やし、浮腫みを解消してくれます。NOサプリメントにはアルギニンやシトルリンが含まれるのですが、これを摂取するとトイレが近くなった経験のある方は多いのではないでしょうか。ちなみにアスパラガスの利尿作用は、それに含まれるアスパラギン酸によるものです。なお前述のとおり、大量のタンパク質摂取そのものも、アンモニア発生による尿素回路活性化により、浮腫みを減らす作用があります。しかし余計なアンモニアを発生させるのは身体にとって有害ですし、過剰なタンパク質は体脂肪を増やすことにもつながります。次回は浮腫みを解消するハーブについて紹介しましょう。