HMBの作用についてはこれまで紹介している通り、筋タンパク合成の増加と筋分解の減少、細胞膜の安定化などが代表的なものとなります。また単体で摂取するだけでなく、他のものと組み合わせることによって効果をさらに高めることができます。特に組み合わせ効果のあるのがクレアチンで、「クレアチンのみ」と「HMBのみ」、「HMBとクレアチン」の3群に分けて3週間の実験終了後、除脂肪体重を測定してみると・・・クレアチンのみ 0.92kgの増加・HMBのみ 0.39kgの増加・クレアチン+HMB 1.54kgの増加となりました。また各エクササイズにおける使用重量の増加を合わせると、・クレアチンのみ 39.1kgの増加・HMBのみ 37.5kgの増加・クレアチン+HMB 51.9kgの増加という結果になっています。また最近になって、HMBにはミオスタチンによる筋減少作用を阻害するという報告も出てきており、やはりここでもクレアチンと組み合わせることの効果が示されています。なおロイシンにも同じような効果がありますが、これはHMBと同じ経路なのか、それとも独立した経路なのかはわかっていません。(※1)なおクレアチンは単体でもミオスタチンの減少をもたらします。(※2)他に、ビタミンDとHMBの組み合わせにも期待が持てます。HMBにアルギニンとリジンを組み合わせたところ、筋肉量が増えたものの、筋力の増加は見られませんでした。しかしビタミンDレベルの高かった群のみ、筋力が増加したのです。(※3)HMBは特に速筋繊維のサテライト細胞の分化を誘導する作用がある可能性があり(※4)、老化によって萎縮した筋肉の再生にも役立つと考えられるため、ロコモの予防としても、これから有望なサプリメントとなってくるかもしれません。HMBと組み合わせることでさらに効果を増加させる栄養素を探していくことは、そのうえでも今後の重要なトピックとなってくるでしょう。※1:L-leucine, beta-hydroxy-beta-methylbutyric acid (HMB) and creatine monohydrate prevent myostatin-induced Akirin-1/Mighty mRNA down-regulation and myotube atrophyJournal of the International Society of Sports Nutrition 2014, 11:38 doi:10.1186/1550-2783-11-38※2:Effects of oral creatine and resistance training on serum myostatin and GASP-1.Mol Cell Endocrinol. 2010 Apr 12;317(1-2):25-30. doi: 10.1016/j.mce.2009.12.019. Epub 2009 Dec 22.※3:Vitamin D status affects strength gains in older adults supplemented with a combination of β-hydroxy-β-methylbutyrate, arginine, and lysine: a cohort study.JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2011 Nov;35(6):757-62. doi: 10.1177/0148607111413903. Epub 2011 Aug 1.※4:β-Hydroxy-β-methylbutyrate (HMB) enhances the proliferation of satellite cells in fast muscles of aged rats during recovery from disuse atrophy.Exp Gerontol. 2013 Sep;48(9):973-84. doi: 10.1016/j.exger.2013.06.005. Epub 2013 Jul 4.