前回はインスリンを上手く働かせることにより、炭水化物を体脂肪にするのではなく、筋肉に持っていくための方法について紹介しました。今回はインスリン自体の分泌を少なめに安定させる方法を紹介しましょう。消化吸収がゆっくりの食材は?食べたものが急速に消化されると、血液中に栄養素がドッと出てきます。するとインスリンはその本来の働きを発揮し、栄養素を細胞に運び込もうとします。このときはインスリンもドッと出てしまうことになるわけです。しかし、ゆっくりと食べ物が消化されれば、血液中に出てくる栄養素も緩やかに少しずつ出てきます。その場合はインスリンも低いレベルで安定します。では、消化をゆっくりにするにはどうすれば良いのでしょうか。まずはゆっくり消化される食材を紹介しましょう。これらは繊維質が多かったり、消化酵素の働きにくい構造になっていたりして、通常の食材よりも消化が遅くなっています。◇ ゆっくり消化される食材…玄米や胚芽米、ソバ、ライ麦パンや全粒粉パン、オートミール、アルデンテのパスタ、サツマイモ、サトイモ、イチゴ、グレープフルーツ、モモ、豆類、乳製品、野菜類や海藻類など逆に、早く消化されてしまう食材も紹介しましょう。これらは繊維質が少なく、消化酵素の働きやすい構造になっているため、消化が速くなります。ダイエット中はこれらの食材を控えめにしたほうがいいでしょう。◇ 早く消化される食材…白米、ウドン、食パンや菓子パン、シリアル、ジャガイモバナナ、ブドウ、砂糖を多く使った菓子類など消化吸収をゆっくりにするテクニック繊維質が多いと消化が遅くなるということは、普通の食事に繊維質を加えるだけで、同じような効果が望めるということになります。さて食物繊維には大きく分けて二つの種類があります。一つは「水に溶ける」繊維。これは消化器の中でゲル状になって、食べ物の移動を遅くしてくれます。果物や野菜類に含まれるペクチンや、フラクトオリゴ糖として知られるイヌリン、こんにゃくや山芋に含まれるグルコマンナンが代表的な水溶性食物繊維です。また昆布やワカメ、寒天などにも含まれます。なお水溶性食物繊維には健康面でのメリットもあって、コレステロールを減らしたり、動脈硬化を予防したりする効果があります。次は「水に溶けない」繊維で、「不溶性食物繊維」と呼ばれます。こちらは水に溶けないものの、水を吸って数倍~数十倍にも膨れ上がり、満腹感をもたらしたり、腸を刺激して便秘を予防してくれたりします。野菜や豆類、穀類(ふすま)に含まれるセルロースやヘミセルロース、亜麻やココアに含まれるリグニンなどが代表的な不溶性食物繊維です。ダイエット用サプリとして良くみかける「オオバコ」も、この仲間です。これらの水溶性および不溶性の食物繊維を上手に食卓に採り入れることで、インスリンの働きを抑え、ダイエットに役立てることができます。