今回紹介するのは「花粉症」に有効な漢方薬とサプリメントである。筆者はつい数年前までは全く問題なかったのだが、免疫が高すぎたせいか、ある日急に鼻が詰まるようになって、大慌てしたものだ。花粉症のメカニズムをごく簡単に説明すると、まずは鼻や喉、目などに花粉やハウスダストなどが付着する。そしてそれらを「異物」と認めた免疫グロブリンEがマスト細胞を刺激する。そしてマスト細胞は異物を排除しようとして、ヒスタミンやロイコトリエンなどを放出する。放出されたヒスタミンは鼻水やクシャミを、ロイコトリエンは鼻詰まりや目のかゆみを引き起こすというわけだ。つまりポイントとしては、免疫グロブリンEの作用を抑えること。次にヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑えることとなる。これが西洋医学的な考え方だ。漢方においては、花粉症や副鼻腔炎は「風熱」によるものと考えられている。つまりこのようなときに身体を温める作用のある葛根湯やニンニクなどは使ってはいけない。花粉症によく使われるのが「小青竜湯」だが、これには麻黄が含まれることもあり、かえって問題を悪化させることがある。その代わりに良く使われているのが、「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」だ。夏風邪や夏バテによる食欲不振や下痢にも効くと言われている。湿熱を除去すると言われる「茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)」を併用すれば、さらに効果が増すと思われる。また特に鼻詰まりに効くのが、「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」である。慢性副鼻腔炎にも良い。筆者もこれと六味地黄丸を併用したところ、一気に症状が改善した。ただし漢方をいろいろ使うよりも、点鼻薬を使ったほうがずっと安上がりだったというオチはついているが。さてサプリメントとしては、「イラクサ(ネトル)」や「凍頂ウーロン茶」に免疫グロブリンEを抑える作用がある。またケルセチンにはマスト細胞の膜を強化することにより、ヒスタミンの放出を抑制してくれる作用がある。ただしこの辺りは、数ヶ月飲み続けないと、効果は期待できない。迅速な効果が期待できるのは、大量のビタミンCである。ビタミンCはマスト細胞の中でヒスタミンが作られるのを抑え、また放出されたヒスタミンを水酸化反応により、無力化してくれる。ただし、かなりの大量(一日に7g以上)が必要となるだろう。抗ヒスタミン作用としては、ビオチン(一日1500μg以上)やアスタキサンチン(一日6mg程度)も有効である。難しいのがロイコトリエン対策だ。これは肉や卵に多く含まれるアラキドン酸から作られるので、肉や卵好きにとっては対策がやっかいなのである。筆者の鼻づまりも、免疫が高すぎるだけではなく、もしかしたらそのせいなのかもしれない。ボスウェリアにはアラキドン酸からロイコトリエンを作り出す酵素(5-リポキシゲナーゼ)を阻害する作用があるため、有効性が期待できる