BFRトレーニングの効果は化学的ストレスを与えることに拠るものだ。では、化学的ストレスとは具体的になんであろうか?一つにはpHの変化である。pHが急激に酸性に傾くことがホメオスタシスを破壊し、筋発達のストレスとなる。次は酸素環境の変化、つまり低酸素状態をつくりだすことだ。通常のウェイトトレーニングでは得られないような低酸素状態が、BFRによって可能となる。これらの変化におけるストレスをさらに効率的な方向に向けていくために、有効なサプリメントを紹介しよう。pHの変化は、乳酸の発生によるものである。ここで摂取しておきたいのがBCAAである。BCAAを摂取することにより、乳酸の発生が増加することが分かっている。(※1)なお発生量は増加するが、トレーニング終了後の乳酸は速やかに減少している。またグルコースの節約作用も起こっているようだ。また低酸素状態における長期に渡る過酷な運動で筋肉が減少してしまうことがあるが、これをBCAAは食い止めてくれるようだ。高度3255mの高地で21日間のトレッキングを行ったところ、BCAAを摂取しなかった群は6.8%の筋減少が起こったのに、BCAA摂取群はむしろ筋肉量が増えていたのである。(※2)なおこの実験においては体脂肪の顕著な減少が起こったことも特筆しておきたい。なおBFRトレーニングのデメリットの一つとして、虚血再灌流障害による活性酸素の発生が問題となる。これを防いでくれるのがアシュワガンダだ。アシュワガンダは抗酸化作用と抗アポトーシス作用により、これらの問題を解決してくれるのである。(※3)※1:Effect of BCAA intake during endurance exercises on fatigue substances, muscle damage substances, and energy metabolism substances.J Exerc Nutrition Biochem. 2013 Dec;17(4):169-80. doi: 10.5717/jenb.2013.17.4.169. Epub 2013 Nov 28.※2:Branched-chain amino acid supplementation during trekking at high altitude. The effects on loss of body mass, body composition, and muscle power.Eur J Appl Physiol Occup Physiol. 1992;65(5):394-8.※3:Withania somnifera provides cardioprotection and attenuates ischemia-reperfusion induced apoptosis.Clin Nutr. 2008 Aug;27(4):635-42. doi: 10.1016/j.clnu.2008.05.006. Epub 2008 Jul 11