バルクアップのための心構えを毎月5点ずつ、紹介していきます。その内訳は次の通り。トレーニング食事サプリメント休養その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1. ネガティブを意識せよ!ネガティブの重要性は分かっているのに、楽をしようとしてストンと落としてしまっているトレーニーが大半である。12週間に渡ってプリーチャーカールを限界まで「1秒ポジティブ、1秒ネガティブ」と「1秒ポジティブ、3秒ネガティブ」でやらせて比較したところ、3秒ネガティブ群は3倍の筋肥大効果をもたらしたという研究がある。(※)筋肉は収縮するためのものだから、収縮を重視しろなんて意見もあるが、そもそもトレーニングは「ストレスへの適応反応」により効果が得られるのだ。筋肉にとって自然な刺激ではなく、ストレスとなるような刺激を与えねばならないということを念頭におくようにしよう。※Resistance training with slow speed of movement is better for hypertrophy and muscle strength gains than fast speed of movement2. ダイエットは短く済ませろ!12週間に渡ってダイエットしたところ、落ちた体重の半分が脂肪だったという報告がある。つまり筋肉もかなり落ちてしまったわけだ。これは専門家が食事を指導し、完全にその通りに行ったのだが、その結果がコレである。テストステロンレベルも4分の1に落ちていた。(※)長期のダイエットはどんなに気を付けて行っても、筋肉を落としてしまう。またホルモンレベルも悪化し、体調も悪くなる。ダイエットは短期(最大8週間)で済ませ、間に維持期間か軽いバルクアップ期間を設け、筋肉量が回復してから再ダイエット(短期)という感じで行うようにしたい。※Natural bodybuilding competition preparation and recovery: a 12-month case study.Int J Sports Physiol Perform. 2013 Sep;8(5):582-92. Epub 2013 Feb 14.3. アシュワガンダを摂取しよう!筆者が昔から勧めているハーブのアシュワガンダには、睡眠を深くする作用やテストステロンを増やす作用、疲労を回復させる作用が知られている。57名の男性を対象にトレーニングを行わせたところ、一日に600mgのアシュワガンダを摂取した群はプラセボ群と比較して多くの体脂肪を減らし、筋肉を増やすことができたという結果が出ている。(※)トレーニング後のクレアチンキナーゼも低下しており、炎症を減らしてトレーニングからの回復を促進する作用もあるようだ。あまりに効果があるため、残念ながら日本ではサプリメントとして使えなくなってしまったが、個人輸入で手に入れることは可能である。今のところはドーピングの心配もない。※Examining the effect of Withania somnifera supplementation on muscle strength and recovery: a randomized controlled trial.J Int Soc Sports Nutr. 2015 Nov 25;12:43. doi: 10.1186/s12970-015-0104-9. eCollection 2015.4. フォームローラーで動脈硬化が改善?平均19.9歳の男女10名を対象にフォームローラーを15分弱行わせたところ、NOが増加し、脈波伝播速度が遅くなった(動脈硬化が改善された)という報告がある。(※)フォームローラーによる圧力が、内皮細胞に「ずり応力」を与え、NOを発生させたのかもしれない。これは若者対象の研究だが、一度だけではなく、継続的に行うことで動脈硬化の改善が期待できるかもしれない。心臓血管系疾患の予防に「アルギニン+フォームローラー」が推奨される日が来るかも?※Acute effects of self-myofascial release using a foam roller on arterial function.J Strength Cond Res. 2014 Jan;28(1):69-73. doi: 10.1519/JSC.0b013e31829480f5.5. 生物と無生物の違いは?将棋や囲碁において、コンピュータが人類最高の知能を上回ろうとしている。しかし電卓があったからといって暗算名人の価値が損なわれることはないし、車に押し負けたからといって力士がダメだということにはならない。コンピュータや車は人間がつくったものであり、それと比べて「人間が負けた」というのもおかしな話である。ところで生物と無生物の違いはなにか。DNAの存在である。自分の遺伝子を残そうとするため、「ヒト対ヒト」における競争意識が存在する。つまり競争意識の存在は、ヒトを無生物と画するのである。そして自らを向上させてくれる原動力でもある。遺伝子を残す必要の無いコンピュータそのものに、競争意識はない。しかし、学習能力はある。将棋や囲碁のソフトは情報を外部から採り入れることができ、自分でどんどん強くなることができるのである。競争意識のない、「諦めた」ヒトは、機械にすら劣る。オンリーワンという居心地の良い、狭い場所を探して一生を終えたいのなら、それでも良いだろうが。