「ダイエットしたい!」という女性には、食事の調整とウェイトトレーニングをお勧めします。でも多くの女性はダイエットの効果を体重だけで判断してしまいがち。トレーニング初心者は簡単に筋肉が増えてしまうため、ウェイトトレーニングによって筋肉量が増えると、体脂肪は減っても体重はあまり変わらないということが普通に起こります。そこで、筋肉は極力増やさずに体脂肪だけ落としたいという場合はローカーボ・ダイエットをお勧めします。20歳から40歳の肥満女性(BMI 25以上)16名を対象にした研究で、「好きなだけ食べていいが、炭水化物は控える」という食生活とともに、週2回のウェイトトレーニングを行わせました。10週間後、平均で5.6kgの体重が減少しました。その内訳は全てが体脂肪であり、筋肉量の増加も減少もなかったのです。なお被験者にはケトン体試験紙が渡され、最初は一日のカーボ摂取量を20gに抑え、ケトーシスになっていることを確認しつつ、徐々にカーボ摂取量を増やしていきました。もちろん例外はあって筋肉量の増えた被験者もいましたが、平均でみるとそのようになったということです。なお食事を変えず、ウェイトトレーニングだけ行った群は体脂肪量は変化せず、除脂肪体重が平均1.6kg増えました。(※1)また肥満女性を対象に16週間に渡り、脂質摂取量を同じにして「高炭水化物+普通量のタンパク質」にした場合と、「控えめの炭水化物+高タンパク質」にした研究もあります。普通量のタンパク質というのは「体重1kgあたり、0.8g」ということで、これはRDA推奨値です。高タンパク食というのは、その2倍つまり「体重1kgあたり、1.6g」ということです。その結果、高炭水化物群は平均で5.5kgの体脂肪減少だったのに対し、高タンパク群は平均で8.8kgの体脂肪減少となりました。また高タンパク群は善玉コレステロールの増加や中性脂肪の減少が顕著に起こりました。(※2)そしてこの場合、高炭水化物のほうは除脂肪体重が平均1.0kg減っているのに対し、高タンパクのほうは平均0.4kgの減少に留まっています。つまり炭水化物を控えめにして、タンパク質を十分に摂取することにより、筋肉をキープすることができたということになります。ケトーシスになるまでカーボを減らすべきかどうかについては議論の分かれるところだと思いますが、筋肉を増やし過ぎずにキープし、体重を落としたいというクライアントを持つトレーナーの方は参考にしていただければと思います。※1:Resistance training in overweight women on a ketogenic diet conserved lean body mass while reducing body fat.Nutr Metab (Lond). 2010 Mar 2;7:17. doi: 10.1186/1743-7075-7-17.※2:Dietary protein and exercise have additive effects on body composition during weight loss in adult women.J Nutr. 2005 Aug;135(8):1903-10.