ピリオダイゼーションはご存じの通り、ある程度の期間を区切って徐々に重量を増やし、レップスを減らしていく方法。非線形ピリオダイゼーションは短期間で毎回重量とレップスに変化をつけるというもので、特に具体的なプロトコルは示されていません。私が提唱している「マンデルブロ・トレーニング」は、非線形ピリオダイゼーションの進化形であり、Phase 1とPhase 2、Phase 3に分けて具体的な重量とレップスを示したプロトコルとなっています。では、その効果はどうなのでしょうか。マンデルブロ・トレーニングとは少々違いますが、やはり高重量と中重量、低重量の3フェイズに分けて非線形ピリオダイゼーションを行った結果を、普通のトレーニングや線形ピリオダイゼーションと比較した実験がありますので、それを紹介しましょう。Nonlinear periodization maximizes strength gains in split resistance training routines.J Strength Cond Res. 2009 Jul;23(4):1321-6. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181a00f9627名のトレーニング経験者を用い、レッグプレスとベンチプレスを12週間に渡って普通のトレーニング群(NP)、線形ピリオダイゼーション群(LP)、非線形ピリオダイゼーション群(NLP)に分けて行わせました。NP群は8~10レップスを3セットというごく普通のトレーニング方法を12週間継続。LP群は最初の4週間は12~15レップスを3セット、次の4週間は8~10レップスを3セット、最後の4週間は4~5レップスを3セットとしました。NLP群は1週目に12~15レップスを3セット、2週目に4~5レップスを4セット、3週目に8~10レップスを3セット行い、4週目は1週目と同じ。それを繰り返しました。その結果、1~2週間経ってもNP群は筋力に殆ど変化が見られませんでした。これは元々被験者がトレーニング経験者だからでしょう。そしてLP群は8週目まではレッグプレスにおいて筋力の向上が起こりましたが、その後は変わりませんでした。またベンチプレスは12週間に渡り、殆ど筋力が向上しませんでした。NLP群は1~2週間に渡ってレッグプレスとベンチプレスの両方の筋力が向上し続けました。最終的な筋力向上の度合いも、他の2群に比べてずっと多かったとされています。この研究では筋力に焦点が当てられていますが、筋肥大についてはどうでしょうか。COMPARISON BETWEEN NONLINEAR AND LINEAR PERIODIZED RESISTANCE TRAINING: HYPERTROPHIC AND STRENGTH EFFECTS1Federal University of Rio de Janeiro, Physical Education Postgraduation Program, Rio de Janeiro, Brazil; 2Sport Science2012年に行われたこの研究では30名のトレーニング未経験者を用い、非線形ピリオダイゼーション群(NLP)と線形ピリオダイゼーション(LP)、トレーニングを行わない群(CG)に分けて1~2週間に渡りベンチプレスとラットプルダウン、トライセップスエクステンション、カールを行わせました。NLP群は1~2週目は12~15レップスを2セット、34週目は8~10レップスを3セット、5~6週目は3~5レップスを4セット行い、7週目以降はそれを繰り返すというもの。LP群は1~4週目は12~15レップスを2セット、5~8週目は8~10レップスを3セット、9~12週目は3~5レップスを4セットというものです。その結果、どちらのグループも筋力は向上しましたが、特にベンチプレス、とエクステンション、カールについてはNLP群のほうが遥かに高い効果を示しました。また上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋厚も、NLP群のほうが多くなっていました。これらの結果から、2週間やったら使用重量に変化を加える必要があるということになりそうです。身体は意外に適応しやすく、常に同じトレーニングではトレーニング未経験者でも、効果が減少してしまうということでしょう。