心を澄ましてうそぶきありきなど、尋常ならぬさまなれども、人に厭はれず、万許されけり。徳の至れりけるにや。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・筆者の世代には南野陽子のファンが数多くいるはずですが、彼女は若いころのインタビューで「わがまま放題やっている。そういう人だと思ってもらえれば、周りはそう扱うようになるから、仕事もプライベートも楽になる」と言っていて、これは干されるだろうと思っていたところ、やっぱり干されました。盛親僧都も自由に生きていましたが、「万許されけり」となったのは、彼がやんごとなき智者だったからでしょう。誰にも従わず、好き放題やっているようでいて、仕事はきっちりとこなし、周りに迷惑をかけることも、そうは無かったのだと思われます。現代社会においてストレスから逃れるのは難しく、人間関係に代表される精神的なストレスは、なかなか解消することができません。また1日の労働時間が11時間に延びると、1日7~8時間働く人と比べて心筋梗塞を起こす危険性は2.4倍に上昇してしまいます。(※1:とはいえ、労働時間を減らすというのも難しいものです。しかし容易に解消可能なストレスもあって、それは物理的肉体的なストレスです。例えば空腹状態もストレスです。胃を調べたところ、朝食から昼食までの間に時間が空いて空腹を感じるようになると、それだけで胃の粘膜にすぐ異常がみられるようになるそうです。また寒冷ストレスも影響が大きいものです。ラットを毎日1時間だけ寒い環境において飼育したところ、数カ月で高血圧や冠動脈の血管壊死、心筋細胞の繊維化や損傷がみられています。(※2)こうしたストレスならば、その気になればコントロール可能です。そして他にできることとしては、ストレスを受けたときに身体が無理なく対処できるように栄養条件を整えておくことです。ストレスによって交感神経の活動が高まり、副腎皮質ホルモンの生産が増加します。そしてコレステロールや血糖値が高くなり、動脈硬化の原因となります。このようなときに一番大事なのが、ビタミンCです。他にB群やマグネシウムなどさまざまな栄養が必要とされますが、まずはビタミンCを。3gのビタミンCを4時間ごとに摂取することで、血中濃度を最大限に(220μmol/L)高めることができます。(※3)ここまでとはいかなくても、ストレスを受けたと感じたら1g程度のビタミンCを2~3時間ごとに飲むようにしてみましょう。ストレスによるさまざまな弊害から、あなたの身体を護ってくれるはずです。※1:Working hours as a risk factor for acute myocardial infarction in Japan: case-control study.BMJ. 1998 Sep 19;317(7161):775-80.※2:寒冷ストレスによる実験的高血圧症と血管系病変動脈硬化/13 巻 (1985-1986) 6 号※3:Vitamin C pharmacokinetics: implications for oral and intravenous use.Ann Intern Med 2004;140:533-7.