適度なトレーニングと筋肉痛の関係筋肉に適度な刺激を与えると、超回復が起こって以前よりも強い筋肉になります。その連続により、筋肉は発達していきます。しかし強すぎる刺激を与えてしまうと、筋肉は回復しません。それどころか怪我をしてしまう可能性もあります。では、「適度な刺激」とはどのようなものを指すのでしょうか。まず、強すぎる刺激について考えてみましょう。トレーニングをやり過ぎたときに、私たちの身体はどうなるか。真っ先に思いつくのは、「ひどい筋肉痛」です。そう、何日も続くようなひどい筋肉痛が来た場合、これは明らかにトレーニングのやり過ぎだと言うことができます。筋肉痛が発生するということは、カラダのホメオスタシスが十分に打ち破られたということです。ですから、ほんの少しの筋肉痛が来るだけで、筋発達のための刺激としては十分なのです。では、筋肉痛が来なかったらダメなのでしょうか。そうとも言えません。筋肉痛の原因は実はまだ明らかにされていないのですが、まったく筋肉痛が来なくても筋肉が発達するということは、いくらでもあり得るのです。ですから、筋肉痛は筋発達のための刺激の強さを測るバロメータとして、「十分条件ではあるけれど、必要条件ではない」ということになります。1セットで十分?本来ならば、自分が発揮できる以上の力を少しでも上回るような力を発揮すれば、その時点でホメオスタシスは打ち破れるはずです。自分の出せる力のマックスを「100」とすると、たった1セット、「101」の力を出すだけで、本当は十分なのです。なおタイトルの「101トレーニング」は、このことから命名されています。ただし私たちの身体には「心理的限界」というものが存在します。簡単にマックスのパワーをいつでも発揮できるようでは、すぐに身体が壊れてしまいます。ですから、脳から筋肉に伝わるメッセージは、100%の能力を出しているつもりでも、実は60%程度の能力しか出せないようになっており、ある程度の予備力を持たせてあるのです。しかし「火事場のバカ力」というような状況になると、脳のリミッターが外れ、普段では発揮できないような力を発揮できるようになります。また大声を出して叫んだりしても、リミッターをある程度解除できるようになります。とはいっても、いつもリミッターを外してトレーニングするわけにはいきません。関節への負担、神経系の疲労、ジムでの人間関係?などを考えると、一瞬だけ(1セットだけ)リミッターを外すよりも、数セット行うことによって101%の仕事をさせたほうが安全です。またリミッターを完全解除したとしても、100になるわけではなく、せいぜい90程度までにとどまります。