前号ではコラーゲンの摂取によって皮膚の弾性が改善したり、シワが減ったりしたという報告を紹介しました。いまだに「コラーゲンを摂取してもアミノ酸に分解されるだけ」という誤解が解けないのは残念ではありますが。さてコラーゲンそのものだけでなく、アミノ酸の摂取によってもコラーゲンの合成を高めることが可能となります。グリシンやプロリンなどコラーゲンの主な材料となるものより、むしろここで重要となるのは「アルギニン」です。アルギニンはコラーゲンの「Y」構造の分岐位置を形成するために必要とされます。また成長ホルモンの分泌もコラーゲン合成促進に寄与しているものと思われます。そして面白いことに、アルギニンとBCAA、あるいはアルギニンとグルタミンを組み合わせることによって、コラーゲンの合成速度が高まったという研究結果が味の素から出されています。この実験報告によれば、経口にて成人一日あたり、512gのアミノ酸混合物(BCAAとアルギニン、グルタミン)を摂取することによって、コラーゲンの合成が促進される可能性があるとのこと。また医薬品でも使われているもので、「3gのHMBと14gのアルギニン、14gのグルタミン」をミックスした製品があります。この配合においては714日間の摂取によって、コラーゲンの合成が飛躍的に高まったことが示されています。(図1)コラーゲンは美容に効果的というだけでなく、トレーニーにとっても重要な物質です。細胞外マトリックスとして怪我を防ぐだけでなく、特にボディビルダーにおいては筋細胞だけでなくコラーゲンの増大が筋肥大の多くの部分を占めていることが知られています。ボディビルダーは若々しく見られることが多いのですが、筋肉の発達を狙うためにBCAAやグルタミン、アルギニン、HMBを摂取していたら、知らずとコラーゲンも発達していて、肌が綺麗になっていた・・なんてことも多いのかもしれません。