・・・・・・・・・・・・・よくわきまへたる道には、必ず口重くちおもく、問とはぬ限りは言いはぬこそ、いみじけれ。・・・・・・・・・・・・・知識が豊富な人はそれをアピールし、それを良いことにいろいろと質問してくる人がいます。それに対して「ただで教えてくれという人はダメだ」とか「相手の時間を使っていることがわかっていない」と知識人がSNSでぼやいているのが、数日に一回くらいのペースで見受けられます。確かに質の悪い質問も多く、また質問してくる人の多くは、自分の求める答えを言ってもらいたがるもので、それと違う回答をされると、途端に面倒になります。回答と微妙に違うことを勝手に実行して良い結果が出ず、逆恨みされることもあります。吉田兼好もいろいろあったのだろうな・・と推察されますが、知識を仕事に利用する以上、質問されるのは仕方がありません。良質の質問が来れば回答者も嬉しいもので、知識の整理やアップデートに役立つこともあります。割合としては少ないのですが。世の中に間違いが氾濫していると、それに対して言いたくなるのも当然で、むしろ主張する責任が存在すると筆者は考えます。三石巌先生は、「なにも発言しないことは、その人の社会的価値がゼロということだ」と何度か著書に書かれています。目立ちたくないからといって、知っているのに発言せず、知らぬふりを決め込むのは、救護義務違反だとも言えるでしょう。発言したくなるのを我慢するのは精神的にも悪く、例えば痛みを我慢していると、シナプスが敏感になって痛みを感じる神経伝達物質が放出されやすくなり、またNMDA受容体が痛みのセンサーとして新しく発現したり、痛みを情報として記憶する長期増強現象(Long-term potentiation:LTP)が起こったりします。つまり我慢すればするほど、我慢が効かなくなるのです。それを抑えてくれるのがセロトニンや内因性オピオイド(エンドルフィンやエンケファリンなど)です。このどちらも増やしてくれるのが「運動」ですが、最近広まってきたCBDも有効だと思われます。CBDは μ および δオピオイド受容体の間接的な作動薬でもあり(※)、痛みを抑えるとともにオピオイド依存の治療にも使われます。リラックス効果も知られており、精神的ストレスを受けたときに使うのもいいでしょう。いろいろな剤型がありますが、舌下にスポイトで垂らすタイプのものがもっとも吸収率が良いようです。※:Cannabidiol is an allosteric modulator at mu- and delta-opioid receptors”. Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology 372 (5): 354–361. (2006).