ジャーマン・ボリューム・トレーニング(以下GVT)は一般的に、「マックスの60%前後の重量を使い、同一エクササイズを1~2分のインターバルで、10レップス*10セットを行うもの」と定義される。なぜ、この方法に効果があるのか。普通に10セット行うのと、どう違うのか。回答の一つは、「同一のモーターユニットを集中的に攻撃することが、筋肉にとって新鮮な刺激となるから」であろう。モーターユニットとは、一つの神経と、その神経が支配する筋繊維群のこと。同じ重量・負荷だと、使われる神経と筋繊維の数も同一になるのである。■筋肉の収縮形態筋肉は「悉無律」によって収縮する。言い換えると、「収縮するか、全くしないか」である。例えば1本の筋繊維が、10kgの力を発揮できるとしよう。筋繊維が10本あれば、100kgを持ち上げることができることになる。この状況で、60kgのバーベルを持ち上げるとする。さて、このときは10本の筋繊維がそれぞれ6kgずつの力を発揮するわけではない。6本の筋繊維が、10kgの力を発揮し、残りの4本は休んでいるのである。つまりGVTは、その6本の筋繊維だけを集中的に刺激するトレーニングなのである。だからセットの途中で負荷を変えるのは望ましくない。10レップスできなくなったからといって、重量を40kgにしてしまっては、刺激される筋繊維が4本だけになる。だから後半のセットでは重量を落とさず、レップスが自然と減るに任せて良い。あまりに減ってしまう場合は重量設定が間違っていたわけだが、そんなときはインターバルを長くすれば良い。■GVTへのピリオダイゼーションの適用GVTは効果的なトレーニングメソッドではあるが、やはり身体の「適応」からは逃れられない。何度も続けると、もうカラダにとって新鮮な刺激ではなくなってしまう。そこでGVTとピリオダイゼーションを組み合わせるという方法が考えられる。これを仮に「発展的GVT」と名付けておこう。具体的には、次のように行う。◇4週間サイクルの発展的GVT1週目:10レップス*10セット2週目:7レップス * 8セット3週目:5レップス * 6セット4週目:10レップス * 3セット (1週目と同じ重量)5週目:1週目に戻る。使用重量をそれぞれ2.5%増やす。ピリオダイゼーションにおいては、「サイクルが進むごとに、量を減らし、強度を高める」ことが鉄則となっている。また最後に休息期間を入れる必要がある。よって1週目から3週目にかけて使用重量を増やし、セット数を減らしていく。最後の4週目は軽めに行う。GVTの欠点は、一つの器具を独占してしまうため、混んでいるジムでは嫌がられてしまうということでしょう。しかしホームトレーニーなどで、「時間はあるけれど、できるエクササイズが少ない」なんて方には、特に有効だと思われます。ぜひ試してみてください。