わが身のやんごとなからんにも、まして、数ならざらんにも、子といふもの なくてありなん。(中略)聖徳太子の、 御墓(ミハカ)をかねて築(ツ)かせ給ひける時も、「こゝを切れ。かしこを断て。 子孫あらせじと思ふなり」と侍りけるとかや少子化の問題が叫ばれて久しくなりましたが、徒然草の時代から「子供はつくらないほうが良い」と言われていたのには驚かされます。野球のイチローや古田、競馬の武豊らもそうですが、ボディビルの世界でも子供のいないトップビルダーは意外に多いものです。とはいえ、実際につくるかどうかは別にして、生殖能力は高いままキープしたいと考えるのが一般的ではないでしょうか。筆者のところに来るサプリメントの相談でも、不妊症に関するものを多く受けています。男女問わず、「ビタミンE」は妊娠のために真っ先に必要となるビタミンです。もともとビタミンE自体が、マウスの妊娠に必要な因子であることが判明し、それで発見につながったのです。ちなみにビタミンEには4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールが存在しますが、「トコ」とはギリシャ語で子供を産むという意味、「フェロール」とは力を与えるという意味なのです。ビタミンEは性ホルモンの分泌を正常にするだけでなく、活性酸素の除去や血流を増進することにより、黄体機能を改善します。黄体機能不全の患者に一日に600mgを投与したところ、14例中13例で改善がみられ、さらに血流増進作用のあるアルギニン(一日6g)を追加したところ、効果がさらに高まったという事例があります。できればD-α-トコフェロールだけでなく、8種類すべてを配合した「フルスペクトラム」のビタミンEを摂取するようにしましょう。なお女性に関しては他にチェストツリーやビタミンB6なども、不妊に役立つとされています。男性に関してはテストステロンを増やすものとしてハーブ(トリビュラスやトンカットアリ、イカリソウなど)の他に亜鉛やアルギニン、Dアスパラギン酸などに強い効果がありますが、カルニチンやCoQ10には精子の質を高める作用がありますので、子供をつくりたいと考えるアスリートにはぜひ摂取してもらいたいものです。