筋肥大や筋力の増加、また美肌への効果などが知られるHMB。実はHMBには「体脂肪を減らす効果」もあるのです。Vukovichらの研究によれば、8週間に渡って週2回のエクササイズを行うとともに、毎日3gのHMBを摂取したところ、体脂肪がHMB非摂取群よりも多く減少したとのことです。HMB摂取群は4.07%の減少、非摂取群は0.31%の減少。ちなみに筋力はHMB摂取群が17.2%の増大、非摂取群は8.3%の増大でした。また39名の男性と36名の女性を使い、4週間にわたって行われたPantonらの研究では、HMB摂取群は1.1%の体脂肪減少、非摂取群は0.5%の減少でした。上半身の筋力はHMB摂取群で7.5kgの増大、非摂取群は5.2kgの増大。除脂肪体重はHMB摂取群が1.4kgの増大、非摂取群が0.9kgの増大でした。これらの実験では食事制限は行っておらず、レジスタンストレーニングを行っただけです。それでも体脂肪の減少が起こったのは、トレーニングによるカロリー消費と代謝の向上が起こったからでしょう。またChengらの報告によれば、HMBは筋細胞における脂肪酸の酸化を昂進させるようです。最大酸素摂取量の増大も起こるようですので、持久力アップの効果も見込めるはず。また減量中はどうしても筋肉量が減ってしまいがちですが、HMBには減量にともなう筋減少を防ぐ効果も期待できます。癌による悪液質やエイズによる筋減少が起こっている患者にHMBを摂取させたところ、筋肉を保持する効果が明らかにあったと証明されています。さて、1967年から2001年の間に行われた研究にたいするメタ・アナリシスでは、250種類以上のサプリメントを調査したところ、除脂肪体重と筋力を明らかに増大させると分かっているものは、クレアチンとHMBだけであるとのことでした。Effect of dietary supplements on lean mass and strength gains with resistance exercise: a meta-analysis.しかしクレアチンに比べるとHMBには「効果がなかった」とする研究も多く、サプリメント界ではそれほど人気のある商品というわけではありません。これはHMBの作用機序にも関係します。HMBの効果の一つは、「ユビキチン・プロテアソーム系の阻害」です。これについて詳しくは触れませんが、「かっこいいカラダ」を読んでいる方なら分かるはず。さてユビキチン・プロテアソーム系は、筋肉にとってハードな刺激が与えられたときにこそ、大きく働きます。ですから、あまりハードにトレーニングしていないときにHMBを使っても、あまり効果はありません。逆にトレーニングプログラムを変更したときとか、しばらく休んでいたけど久しぶりにトレーニングしてみよう・・なんてときには、HMBが強力な効果を発揮します。摂取方法は一日に3~5g。できるだけ均等に分けて摂取するようにしてください。