いかなる人なりけむ、たづね聞かまほし。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・筆者は多くの超一流アスリートを指導する機会に恵まれているのですが、昔は若い選手の比率が少なめでした。超一流アスリートともなると才能が頭抜けているため、若いころはなにもせずとも十分に高いパフォーマンスを発揮でき、しかし加齢につれてパフォーマンスが低下して、「なんとかせねば」と考え、ウェイトトレーニングを開始するというパターンがこれまでの定番です。しかし最近では若い選手を指導する機会が多くなっています。また若い選手のほうが貪欲になっています。某所で若手とベテランとに分けて指導することがありましたが、若手は筆者の講義後に何人も質問に来たり、ウェイトルームにいる私に積極的に指導を請いに来たりしました。昔はベテラン選手の背中を見て、若手たちは真似をしていたのでしょう。ベテランがいい加減な食事をし、練習後は飲みに行き、ロクにトレーニングもしない。それでも何とかなっていました。しかし競技レベルが高くなるにつれ、またネット社会になって情報が広まるにつれ、若手たちに危機感がつのります。正しい方法、ライバルたちに差をつける方法、より効率的な方法を求め、情報を求めるようになります。また、そんな若手を見てベテランも反省し、よりよい方法を実行しようとします。これは明らかに好循環です。ここで邪魔になるのが、既得権益を手放したくない指導者たちです。自分の指導が間違っていたと知られたくないため、新しい方法を採り入れようとせず、頭ごなしに否定します。ただしそれだけではありません。「頑固おやじ」という言葉があるように、老人たちが頑固なのには理由があるのです。脳の老化です。特に加齢によって萎縮しやすいのが「前頭葉」という部分で、40代になると既に明らかに萎縮が進んでいるのが分かるそうです。ここが萎縮すると創造力が欠けたり、意欲が衰えたり、感情のコントロールが効かなくなったりするのです。キレやすい老人などは、前頭葉の萎縮がかなり進んでいるのでしょう。特に萎縮しやすいのは、「いつも同じことばかりやっている人」です。なおアルコールも萎縮を促進させます。ただしストレスも萎縮を促進するため、アルコールがストレスを減らしてくれるのなら、少量でしたら良いかもしれませんが。逆に萎縮を防ぐためには、常に新しいものに目を向け、好奇心旺盛になり、面倒だと思うことを意識的に行うようにすると良いのです。軽めの運動も有効です。栄養面ではBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすため、ケトン体であるβヒドロキシ酪酸が有効となります。これは糖質制限をしても良いですし、βヒドロキシ酪酸そのもののサプリメントを摂取しても効果があります。なお運動の効果も、BDNFに拠るもの大です。また特にビタミンB群が重要となります。B群のサプリメントを積極的に摂取して「頑固おやじ」になるのを防ぎたいものです。