トレーニング中~後に摂取すべき糖質の量は

トレーニング中~後に摂取すべき糖質の量は

トレーニングを終了してから数時間の間は、筋タンパクの入れ替わりが激しくなっています。そしてタンパク合成よりも、むしろ筋タンパクの分解のほうが激しくなっています。(※1)

筋肉量を増やしていくためには、筋タンパク合成を高めると同時に、分解を減らすことが重要となります。ところで、なぜ運動後は筋タンパクの分解が亢進するのでしょうか。
理由としては、運動で使われたエネルギーを補償するために糖新生が活発となることや、運動によるストレスに対抗するためにコルチゾルが分泌されること、また筋タンパク合成を高めるために、その材料となるアミノ酸を調達しようとする働きが高まるということなどが挙げられます。

ここで重要となるのが、インスリン感受性です。タンパク分解系の一つに「ユビキチン・プロテアソーム系」というものがありますが、これはインスリンの働きが弱いと作用が亢進し、タンパク分解が増加してしまいます。そこでインスリン感受性を高めるような薬剤を使うと、タンパク分解を抑制することができます。(※2)

インスリンの働きを高めるためには、糖質を摂取することが一番簡単です。同時に糖新生を抑えることもできます。体重1kgあたり、1gの糖質をトレーニング後に摂取することで、タンパク分解を抑制でき、タンパクバランスをポジティブにできたという報告があります。(※3、※4)

しかし減量中は糖質をいくらでも摂取するというわけにはいきません。では、タンパク分解を抑えるために最低限の糖質を摂取したい場合、それは何グラムなのでしょうか。

ここでタンパク分解が亢進する理由をもう一度考えてみます。「必要なアミノ酸を調達すること」が、その一つです。ではアミノ酸を同時に摂取すれば、糖質の摂取量は少なくて済むのではないでしょうか。

十分な必須アミノ酸(20gのEAA)と糖質を同時に摂取したところ、糖質摂取量はわずか30gで十分な効果があったようです。(※5)なお被験者の平均体重は79kgでした。
またこの研究では糖質摂取量を90gの場合と比較していますが、30g摂取の場合と結果は大差なかったようです。つまり十分なEAAを摂取していれば、糖質摂取量は少なくても問題はないということになります。

バルクアップの場合はグリコーゲン回復などのメリットがあるため、多めの糖質を摂取する必要がありますが、ダイエットの場合はかなり少なめでも十分であり、ただし同時にEAAを20g以上摂取することが必要だということになります。できるだけ筋肉を減らさずに体脂肪を減らしたいというトレーニーは、ぜひ参考にしてください。

※1:
Increased rates of muscle protein turnover and amino acid transport after resistance exercise in humans.
Am J Physiol. 1995 Mar;268(3 Pt 1):E514-20.

※2:
Insulin resistance accelerates muscle protein degradation: Activation of the ubiquitin-proteasome pathway by defects in muscle cell signaling.
Endocrinology. 2006 Sep;147(9):4160-8. Epub 2006 Jun 15.

※3:
Effect of glucose supplement timing on protein metabolism after resistance training.
J Appl Physiol (1985). 1997 Jun;82(6):1882-8.

※4:
Macronutrient intake and whole body protein metabolism following resistance exercise.
Med Sci Sports Exerc. 2000 Aug;32(8):1412-8.

※5:
Muscle protein breakdown has a minor role in the protein anabolic response to essential amino acid and carbohydrate intake following resistance exercise.
Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2010 Aug;299(2):R533-40. doi: 10.1152/ajpregu.00077.2010. Epub 2010 Jun 2.


山本 義徳

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